毎日毎日、頑張って忙しく働いてるのに残業は減らないし、給料は増えないし…。
報われない日々のせいで、気持ちが落ち込んで辛くなるときもあります。
仕事が辛い。仕事辞めたい。そんな気持ちのときに、私自身が何度も観ている映画です。
今の仕事を続けること、毎日代わり映えなく働くことに、何の意味があるのか。
この記事では、失業や再就職がストーリーに織り込まれている映画を5つ選びました。
フルモンティ
舞台は90年代イングランド・シェフィールド。
時代とともに衰退する鉄鋼業のあおりを受けて、町は失業者であふれています。
主人公のガズもそんな失業者のうちの一人。
元妻から息子ネイサンの親権を手放すようにせまられています。
しかしガズは失業中で金欠。親権の条件である養育費を工面できず、窮地に追い込まれます。
このままでは愛する息子の親権を失ってしまう…
そんなとき、町にやってきた男性ストリップ集団の稼ぎを知ったガズは、自分自身でストリップショーをやれば一攫千金!のアイデアを思いつきます。
ガズはさっそく失業仲間を集めてストリップショーの実現に向けて動き始めます。
失業・親権・金欠…三つ巴の困難に直面しながらも、息子のために奮起するガズの姿に父親の理想像が重なります。
…気分最高のクライマックスは映画でどうぞ!
主人公ガズを演じるロバート・カーライルは、本作『フル・モンティ』で英国アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。
ちょっとコミカルで親しみやすさを感じる、自然体の演技が魅力の俳優です。
下で紹介する『トレインスポッティング』でも、アル中の喧嘩屋の役が見事にハマっています。
ブラス!
舞台は90年代イングランドの炭鉱町グリムリー。
この町の炭鉱で働くアンディは、炭鉱夫たちで構成されたブラスバンドの一員でもあります。
あるとき、グロリアという女性が町に転勤してきて、ブラスバンドに紅一点として加わります。
しかし、ブラスバンドは炭鉱閉鎖の危機の前にあり、バンドメンバーはやる気を失っていました。
そんなバンドメンバーを指揮者のダニーが叱咤激励して引っ張り、バンドは全英ブラスバンド選手権の準決勝進出を決めます。
ところが、大会から帰ったバンドメンバーを待っていたのは炭鉱閉鎖の決定、そして失業でした。
実は、グロリアの仕事こそが、アンディたちの働く炭鉱の閉鎖に関わる報告書を作る仕事だったのです。
グロリアに裏切られた気持ちのアンディは失意し、ブラスバンドを辞める決心をします。
長年の炭鉱勤めが祟って肺を病み倒れたダニー。彼の病室の外でバンドメンバーが涙ながらに最後の演奏をするシーンには心を打たれます。
…続きは映画でどうぞ。
※ Amazonプライムには作品がありません。
本作の舞台となった架空の町グリムリーとは、イングランドの炭鉱町グライムソープのことです。
ブラスバンドは、この町に実在するグライムソープ・コリアリー・バンドがモデルになっています。
サウンドトラックで演奏しているのも、グライムソープ・コリアリー・バンドです。
バンドの指揮者ダニーを演じるのは、深みある表情が個性的なベテラン俳優のピート・ポスルスウェイト。
サスペンスの最高傑作『ユージュアル・サスペクツ』でも、彼の渋さが引き立つ配役で好演しています。
炭鉱夫アンディを演じるのは、若かりしユアン・マクレガーです。
トレインスポッティング
舞台は90年代スコットランド・エディンバラ。
主人公のレントンは仕事もせず、麻薬中毒の仲間たちと退廃的な毎日を過ごしています。
そんな生活を断ち切ろうとレントンは仲間とともに麻薬をやめてみるのですが…
何もかもがうまくいかない現実に負けて、麻薬に依存。元の生活に戻ってしまいます。
麻薬を買うためのお金欲しさに、盗みや万引き、喝上げなどの犯罪はエスカレート。
とうとう警察に捕まって、執行猶予つきの判決を受けることになります。
判決を機に麻薬依存を克服したレントンは、ロンドンで不動産仲介の仕事に就きますが、結局は失職。
エディンバラに戻ると、麻薬の転売で金儲けする計画を仲間から持ち掛けられ、計画に加わって動き始めます。
誤った道に逸れようとも、もがきながら未来に向けて歩み出そうとするレントンの姿には共感できるものがあります。
ボストンバッグ一つで上京した20代の私もまさにそうでした。…続きは映画でどうぞ。
トレインスポッティングで描かれた時代のエディンバラは、電車の操車場が麻薬の売買に利用されていました。
操車場に集まってくる麻薬中毒者のことを、現地では電車オタクと揶揄して「トレインスポッター」と呼んでいたのがタイトルの由来です。
90年代にファッションアイコンともなった本作は、当時まだ無名だったユアン・マクレガーを一躍世界に知らしめた作品でもあります。
『フル・モンティ』のロバート・カーライルも共演しています。
あと、ファッションが好きな方は衣装にも注目してみてください。
LIFE!
舞台は現代のニューヨーク。
主人公のウォルターは、写真情報誌『LIFE』のフィルム管理の仕事を勤勉に続けてきました。
ある日、いつもどおり出社したウォルターは『LIFE』の突然の廃刊を知ります。
と同時に、長年の付き合いにある写真ジャーナリストのショーンからは『LIFE(最終号)』用の写真フィルムが届きます。
ところが、ショーン自身が「最終号の表紙にふさわしい最高傑作」と称する一枚の写真フィルムだけが、なぜか見当たりません。
ウォルターはその写真の在りか聞き出すために、ショーンの居場所を探して突き止めます。
ショーンが居たのは、ニューヨークから遠く離れたグリーンランド。
オフィスを飛びだしたウォルターは着の身着のままグリーンランド行きの飛行機に飛び乗り、ここから冒険が始まります。
仕事一筋で平凡に生きてきたウォルターが、一歩飛び出す勇気によって輝き始める冒険ストーリーに元気をもらえます。
…続きは映画でどうぞ。字幕版をおすすめします。(吹替版の評判が良くありません。)
本作は、映画史上の名作『虹を掴む男』(1947年)の現代版リメイクとも言える作品です。
映画の『LIFE』は、実在した写真情報誌「LIFE」がモデルになっています。
写真ジャーナリストを演じるのは『デッドマン・ウォーキング』『ミスティック・リバー』などの代表作で受賞歴があるショーン・ペンです。
写真ジャーナリスト兼冒険家…こんなかっこいい生き方に憧れてしまいます。
ショーン・ペンは、下で紹介する『マルコビッチの穴』にも端役で出演しています。
マルコビッチの穴
舞台は現代のニューヨーク。
主人公のクレイグは人形師で、マリオネットの演劇が稼業ですが収入は思わしくありません。
彼の妻ロッテとの将来、そして結婚のためにも会社勤めに転身する決心をします。
就職先として決まったのは、ビルの7階と8階の間に存在するヘンテコな会社。
ある日、クレイグがオフィスで書類整理をしていると、偶然にも書棚の裏に謎の穴を見つけます。
四つん這いになって暗い穴の中を進んでいくと…
まるで誰かの意識のなかに入り込んだような感覚を体験できる、なんとも不思議な穴でした。
クレイグは、同じフロアで働く女性マキシンを誘って、この穴の不思議体験を売る商売を始めます。
他人の意識にすり替わって生きていくクレイグをみていると、仕事の悩みなど些細なことにも感じてきます。
辛い気分を忘れる最高のコメディセンス。…続きは映画でどうぞ!
本作は、ジョン・キューザック、キャメロン・ディアス、ジョン・マルコビッチと演技派の俳優ぞろいです。
しかも、ジョン・マルコビッチは、本人が本人役を演じています。(もう、わけが分かりません笑)
脚本のチャーリー・カウフマンは、本作『マルコビッチの穴』で英国アカデミー賞脚本賞を受賞しています。
彼の脚本の『アダプテーション』『エターナル・サンシャイン』も人の意識をテーマにした作品なので、本作のセンスが気に入った方におすすめします。